仙台写真月間 2023
鹿落堂
2023.10.10 tue - 11.5 sun
UBIQUITÉ ユビキテ
〜わたしは母であるのでもなく、ママでないのでもない〜
子育ては葛藤で満ちています。母になりきれない。ママと呼ばれない休日が欲しい。（そう思う時点で母失格?）いつも予定通りに事を進められない。浅くなる呼吸。カントは言う「『これは正しい事だ』と自分で選択する事に道徳的価値があり、本当の自由がある」と。しかし、その理性が働かない母という存在に私は煩悶する。「保育園に行きたくない。ママといたい、ママと遊ぶんだ!」と沿道の電信柱1本ごとに立ち止まり、しゃがむわが子。泣く叫ぶ。嬉しいが辛い。毎朝定刻に出勤する夫に対し、片道1時間半かけて園まで送っていく妻。いつしか雨風に晒されるひとつひとつの電信柱に第2の自己を重ねていく。そして「母 / 自分」「夫 / 妻」「子 / 親」「仕事 / 私的」と二分化する事そのものが全ての迷妄の根本だと気がつきはじめる。
NATSOUMI 山田 なつみ
大学在学中より雑誌「Composite」の編集に携わる。2003年渡仏。アルバイト先でマグナム・フォトのGueorgui Pinkhassovをはじめ現地写真家と出会う幸運に恵まれ、次第に独学で写真を始める。写真家 Katja Rahlwes アシスタントを経て、ソルボンヌ・ヌーヴェル大学卒業。在学中にルーヴル美術館で子ども向けのアートワークショップのアシスタントを経験。フリーランスフォトグラファー、雑誌「+81」 在仏エディター、ギャルリーペロタンを経て2010年帰国。十数年間のモノクロ期を経て、今回新たな試みの新作を発表する。
＜個展＞
「TOKΘYO」Galerie Hayasaki, パリ,フランス (2016)
「TOKΘYO」大蔵山スタジオ,宮城県 (2018)
「In the Middle of Nowhere」Café Dao Tao,宮城県 (2019)
「TOKΘYO」リコーイメージングスクエア東京 (2021)
「TOKΘYO」BILDBAND BERLIN,ベルリン,ドイツ (2023)
その他、グループ展多数。